梅田の地下街を歩いているときに、ロマが不思議そうに周りを見ていた。
「アンダーグラウンドに街があるの?どうやって作ったの?電車が地下を走ってるのはどうして?どうやって作ったの?」
ロマの日本ふしぎ発見!である。
彼はタンザニアの田舎で生まれ育ち、地下街はおろか電車も見たことがないので地下鉄なんて輪をかけて不思議な物体であろう。
私も初めて一人で電車に乗った高校1年生の時、なぜこんな不安定なレールの上を走っているのに皆寝ているのだろうか?と戦慄したことを思い出した。ロマにとっての日本で見る光景はほぼ全てが初めましての経験なので、毎日が新しい驚きで溢れている。
逆も然りで、私のタンザニア(マサイ村)での体験も驚きの連続だがロマの方が衝撃は大きいだろう。
「あの車なんで2シートなん?」
道に停まっている2シートの車を訝しげに見ている。
「スポーツカーやからやで。」
「車って遠くまで人や物を早く運ぶための物でしょ?あんな小さいの意味あるん?」
えーっと、そうね。私も車のこと詳しいわけじゃないから、スポーツカーになんの意味があるか深くはわからんわ。
「でもあれ、高いんやで。タンザニアで豪邸建てられるくらいの値段すんねん。」
「え!!あっちの方が役に立つのに。」
ロマの視線の先にはハイエースが停まっている、そして君が言っている小さい車は天下のフェラーリだよ。
スーパーにお肉や牛乳がたくさん置いてあるのに、どこで牛を飼っているの?
サロン(散髪屋)を見かけない、皆髪の毛どこで切るの?
本当にみんな魚を生で食べてる!
あの速い電車何?(新幹線)
トイレあったかい、スイッチいっぱいあるんだけど!
大っきい!音凄い!(映画館)
「これどこまで続くの?」と丸い目をさらに丸くしてトンネルの出口を探すロマ。
その瑞々しい感性を失くさずにいて欲しい。
世界のふしぎをこれからも一緒に見ていきたいと、ロマと出会って2年目の今日に思う。
あの日、予定していなかったザンジバル島に行き、たまたまビーチで出会ったところから今日まで矢のように過ぎた2年。
出会ってから今日までたくさん乗り越えてきたけれど、これから先も一緒に笑って歩いていきましょう。