ロマと私は3月から近所の村でバーを始めた。
私は日本に帰っていたから、お店のことはロマ任せで何も知らない。
1回だけ1ヶ月間の収益を見せてもらった以外は、「仕事はうまくいってるよ。」この言葉しか返ってこない。
本当に上手くいってるのだろうか?
そう思いながらも何も確認せず9ヶ月が過ぎた。
マサイ村に帰ってきて6日目にようやくお店に連れて行ってもらった。
店ではムペンバという男の子が働いていた。
ロマが「カウンターの中に入って座ってて。」というので座っているとさっそくお客さんが来た。
一応カウンターの中に居るし挨拶するか〜くらいの軽い気持ちで言った。
「カリブ(いらっしゃいませ)」
「アサンテ(ありがとう)<;#%|^*◻︎・2@\}‘△?」
なにしろ私のスワヒリ語は挨拶程度なのだ。
お客さんの言ってる事がサッパリわからない。
頼りのムペンバは他のお客さんのオーダーを聞いている、ロマはどっかに行ってしまった。
私が「?」という顔をしたのでお客さんが商品を指さしてくれた。
「モジャ?(1つですか?)」
「ンディオ(はい)、シンガピ(いくら)?」
さて困った、私は値段を知らないのだ。
すると近所の子どもが教えてくれた。
「それ2500シルだよ!」
他の常連と思わしきお客さんも頷いている。
10000シル貰って、7500シル用意したら子どもがダブルチェックしてくれた。
「合ってるよ!」みたいな事を言ってくれてお客さんは去っていった。
私がスワヒリ語で数を数えられるのは1〜29までと100(ミア)、1000(エルフ)までなのだ。
1モジャ
2ビリ
3タトゥ
4ンネ
5タノ
6シタ
7サバ
8ナネ
9ティサ
10クミ
1-10まで覚えれば、後は組み合わせていけば良いので200ならミアビリ、3000ならエルフタトゥ。
最初に2500シルと言われてもピンと来なかった。
2500はエルフビリミヤタノ
10000はエルフクミ
子ども達が教えてくれる。
今更ながら数は覚えようと思った。
そうこうしているうちに、雨降りだというのにどんどんお客さんが来て、ムペンバは忙しいしロマは居ないし、私は近所の子ども2人とお客さんに教えて貰いながら店番をこなしていった。
スワヒリ語がわからないアジア人を指導する子どもと常連さん。
「俺たちがこのムズング(外国人)を一人前の店番にするぜ!」みたいな謎の連帯感が生まれて、私が少しずつ業務を覚えて行くのを手伝って見守ってくれた。
あっという間に4時間経った。
確かにお客さんは来てくれるし、仕事は上手く行ってるのだろう。月間の数字を確認したわけではないので手放しでは喜べないが、一応食べてはいけそうだ。
ロマが戻ってきて「外から見てたけどすごいね!good job!」
見てたんなら手伝ってよー!と思ったがロマが居れば英語で解決してしまうので、スワヒリ語特訓にはこれで良かったのかもしれない。
最後に酔っ払ったマサイの老人に絡まれて、ジェスチャーと単語で「なんか奢ってくれ!」という雰囲気を感じたが「私、スワヒリ語もマサイ語も分かりません」と日本語でしらばっくれてロマに対処してもらった。
こういう事があるから、ロマは私を店で働かせたくないらしい。確かに夜は酔っ払いが怖いから、昼間だけ働こうかなと目論んでいる。
こうして初めての店番はずっと忘れられない思い出となった。
目標:早くスワヒリ語覚えて1人で店番したい