マグダレナ(妹⑤)が学校でテストがあったらしく、ママが用紙を2枚見せてくれた。
22/50と書かれている用紙に半分くらいチェックが入っている。
私の感覚では正解は◯で不正解ならチェックマークのイメージだったが、ここでは正解ならチェックマークが入るらしい。
欠点が何点かは知らないけれど大方半分合ってるから、まあ良いんじゃ無いでしょうか?
もう一枚は2/50、ほぼ不正解。
スワヒリ語がわからないので、何を問われていて何が正解かわからないので教えてあげようが無い。
うーん、あんまり勉強が好きじゃないのかな。
私も勉強は苦手だったので人のことはとやかく言えないが、マグダレナが家で勉強している姿は1回しか見たことがない。
宿題とかないんだろうな。
昨日の夕方に事は起きた。
ママが「このテスト、ロマに見せなさい。」とマグダレナに言ったのだ。
目に涙をいっぱいに浮かべて「嫌!」と拒否するが、断れるはずもなくロマのところにテスト結果を持ってきた。
すでに顔は硬直し口はへの字になっている。
「学校で何を学んでるんや???」
大きな目にもう限界まで涙を溜めて堪えている妹。
何かボソボソと喋ったと思ったら、ロマが立ち上がった。
逃げようとするマグダレナ、すかさず腕を掴み裏庭に連行。
泣き叫びながら連れていかれるマグダレナ。
おお、可哀想に、しかし私にしてあげられる事は1つしかない。
「あんまり怒らないであげて。」
するとロマは私の方に顔を向けて笑顔でウインクした。
裏庭に連行し、木の枝を折ってナイフで削っている。蛇に睨まれたカエルよろしくマグダレナはロマの目の前で震えながら泣いている。
裏にいたジェニファー(妹④)は一目散に逃げていった。
学校でも成績が悪かったり、間違えたりすると木の枝で先生に叩かれるのがここの日常。
村の同級生レベッカが最初は興味津々で覗いていたが、ロマが大きな声で叱り始めると自分が怒られているわけじゃないのに震えながら走って逃げていった。
マグダレナは泣きすぎて過換気になっている。
ロマが枝を振り上げると、恐怖のドン底に叩き落とされた顔をしてママのいる家の中に一目散に走って逃げていった。
「次のテストは絶対受かるから許してください」と泣きながら叫んでいる。
(ロマはこの家の中には入れない。)
ロマはマグダレナを叩いた事は一度もない。
今日も本当に叩くつもりはなかったのだろう。
ロマとマグダレナの年齢差は20歳以上、ババ(お義父さん)がこちらの家族にはノータッチの関係性なので実質ロマがお父さんの役割を果たしている。
こういう役割は全部ロマが担っているので、大変だなと思う。
テスト用紙を見る限り何で間違えたのか、振り返りもしていないので次に繋がらない。
叱責で勉強が出来るようになる訳もなく、家でのサポートが必要なんだと思うがいかんせん学校に行った経験のある人間が少ない。
行ったことのあるお姉さんたちは家事に忙しいので勉強を見てあげるような暇はない。
わからないところをサポートできる環境があったら、もっと「わかる」ことが増えて楽しくなるのに。
そんな偉そうなことを考えているスィンダニ(義姉)は高校の卒業試験で数学0点でした。
「タタさんはね〜何をかけても変わらない点数です。」
数学のM先生にそう言われて卒業したので、マグダレナは点数があるだけ偉いです。