メイタタのしもべ日記

タンザニアのマサイ村に嫁いだ日本人の日常

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20分間の嵐

雨季が始まって喜んでいたある日。

ゴロゴロと遠くで雷鳴が鳴り響き、黒く低い位置にある雲が西から近づいてくるのが見えた。

その雲の下には、遠くからでもはっきりと分かるように線が引かれている。

雲がすごいスピードでこちらに向かってくると同時に、暴風が吹き始めた。

もう雲はすぐそこまで迫っている、線もくっきりと見えて、風に煽られてうねっている。

 


ババババババババ

ドラムを激しく叩くような音と共に大粒の雨が地面を濡らし、屋根を揺らした。

とんでもない嵐の到来だ、裏の扉を一瞬遅れて閉めたがあと2秒でも遅ければもう閉じられなかった。

外に出していた椅子が飛んでいくのが見える、犬が軒下に避難してきた。

庭の木は風の煽りを受けて千切れそうになりながらも、なんとかその場で耐えている。

風も強いが、雨も激しく降っている。

雨粒の一つ一つが豆くらいの大きさで、空から豆まきをしたらこんな感じか。

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そんな中、ロマは規則正しい寝息を立てて眠っている。

昨日も遅かったから疲れているんだろうが、この音で起きないのは私といい勝負だ。

凄まじい嵐の中、ネイマのママがずぶ濡れで外に立っている。

「ママどうしたの?」

「ヤンガライが放牧に行ってるの。」

牛の放牧に出ている我が子を心配して、外に出てきたのだ。

ヤンガライはまだ7−8歳の男の子で、もう一人の男の子と一緒に二人で放牧に出ていた。

そりゃ心配する!でも今はママの方が心配、何か風で飛んできて当たったりしたらえらい事だ。

地面を見ると、家の裏に生えているサボテンみたいな木の枝が風で吹き飛ばされて落ちている。

激しい雨はすぐに小さな川を作って、家の前を流れ始めた。

感じたことのない怖さを目の前にして家の軒先で立ちすくむしかなかった。

 


20分ほどで嵐は去っていき、薄曇りの天気に変わって雨も風も止んだ。

家の外に出ると、ママの家の木が薙ぎ倒されている。

1本は完全に根っこの部分から千切れて倒れていて、もう一つの木はかろうじて根本は残ったが枝葉の部分は地面に着いてしまっている。

ビビ(おばあちゃん)と叔父さんと合流して村の他の場所の被害状況を調べる。

木が何本も折れて、倒木になっているものもあれば、枝だけ折れている木もあった。

村の中心の広場は割と大きな川になり、水が流れていて子どもたちが足を浸して遊んでいる。

放牧に行っていたヤンガライとサリムも無事、牛たちも無事だった。

ロマもようやく目を覚まして、周囲の被害状況の確認に動き始めた。

ママの家の貯水タンクは2回目の雨で早くも満タンになり、入りきらない水が出てくる細いパイプだけでは間に合わず、タンクとパイプの接続部分から水が吹き出している。

水があるのは嬉しいが、今回みたいな嵐は怖い。

ここには消防も何もない、何か被害があっても自分たちでなんとかするしかないのだ。

 


結局、ボロボロになった木の修復に2日かかった。

自然の力の怖さを再確認した嵐だった。

 

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