結婚するまでは、姑と嫁は複雑な関係だと思っていた。
初めてこの村に来た2年前、私は少し緊張していた。
ロマは6人兄妹(当時)たった1人の男の子で長子だし、どんなママなんだろう?きっとすごい大事に育てたんだろうな。
村に着いてバジャージを降りるなり、たくさんの人に囲まれた。
時刻は夜の7時、私には誰が誰だか見えないが、家族は大歓迎で迎え入れてくれた。
薄暗い家の中に入ると顔が見えて、ママはすぐにわかった。
私が村に来たことをとっても喜んでくれて
「タタ、タタ!」
と名前を呼んで、ジェスチャーで膝の上を指差している。
「ママがタタの事、膝に乗せたいんだって。」
初対面のお義母さんの膝に乗る?!
「でも、子どもじゃないし、重たいよ。」
ママは満面の笑みで待っている。
乗ってみた、ママは私を抱っこして何やら喋っているがわからない。
嬉しそうなのだけはわかった。
その上、長旅で疲れたでしょ!と寝室に来て私の足をマッサージしてくれたのだ。
彼氏のママに初対面の日にやってもらう事ではないが、疲れていた私はそのまま眠ってしまった。
ママとロマの関係はちょうどいい距離感だった。すごく過干渉なわけでも、疎遠なわけでもなく、お互いが自立した1人の人間同士の関係。
でもお互いとても労り合っているのがわかった。
マサイは男性と女性は別々に行動するのを知っていたので、特に何も思わなかったが、前情報なく足を踏み入れると唯一言葉の通じるパートナーと離れ離れで1日を過ごすというのはハードルが高い。
しかしママは言葉の壁なんのその、嬉しそうに私を連れて村の色んなところを案内してくれた。
夜にロマと再開して、今日あったことを話すと
「一緒に居たかったんだけど、ママと妹が『ロマは夜にタタと居られるんだから、昼間は私たちと過ごさせてよね。』ってタタ持っていかれちゃったんよね。」
知らないところで私の取り合いが勃発していた。
「ロマとはいつ結婚するの?」
滞在数日目にママがキラキラした目で私に問いかけた。
その時に、ロマとこの家族と一緒になることを決めた。
ロマはプロポーズしたって言うけど、どれがプロポーズだったのか?わからないけど、この村に来て家族に会って結婚することを決めた。
そして8ヶ月後、2回目の訪問で私たちは結婚した。
役所に届けが受理された日、家に帰るとママが私を抱っこして持ち上げて喜んでくれた。
家のニワトリを料理してくれて、ロマは目玉が飛び出るほど驚いていた。
マサイはニワトリを食べる習慣がないので、飼っている鶏は出荷用だ。
それを料理して出してくれるなんて、ロマは人生で初めて見たらしい。
私が鶏料理を食べている間、ママが嬉しそうに何か言った。
「タタは私が産んだんじゃないかしら?」
娘のように大事にされ、今に至る。
たまにロマと喧嘩しても、ママは必ず私の味方だ。
「ロマが悪いでしょ!」
私が悪かったとしても、そうさせたロマが悪いらしい。
機嫌が治るまで家に匿ってくれるママ。
今日は私の踵がガサガサすぎたので、ママが軽石を使って艶々にしてくれた。
私は今日も、ママに甘やかされて生きています。
