朝からロマは大忙し、今日はモラン(マサイの戦士)セレブレーションがあるからだ。
「何のお祝いなの?」
「伝統のお祝いだよ。」
わかったような分からんような。
モランが集まってヤギでも捌いて食べるんだろうと思っていたら様子が違う。
長老たちが集っているし、正装した女性が大勢やってきた。
これはもしかしてとっても大規模なお祝いなのでは?
「そうそう、自分たちの結婚式より人が来るよ。」
そう言うことは早めに言って!
庭の草引いとけばよかった。
モランはマサイ女性が見た肉を食べることが出来ないので、森の中のキッチンで男性が調理する。でっかい鍋2つで油を敷いて玉ねぎと肉を炒めていく。そこにトマトを入れて水を入れて、お米を投入。
いくつかのスパイスを入れて炊くと、炊き込みご飯「ピラウ」の出来上がり。
何人前あるのか分からないが、炊き上がったピラウの匂いが森の中に充満している。
ポチとママオルクチの2匹が寄ってきておこぼれを狙っている。
一方家では女性たちが集い、チャイを飲みながら話しをしていて、長老たちは少し離れた木陰で談笑している。
出来上がったピラウをみんなに配って、お昼の時間は過ぎて行った。
そこに、1人のマサイがムズング(外国人)のガールフレンドを連れてきた。
実は彼女には一度街で会っていて、挨拶したことがあるので再会できて嬉しかった。
彼女はイタリア出身で、お付き合いしている彼のマサイ村に来てまだ1週間だそうで、全く違う環境に適応するのに苦労していると話した。
でも、彼女は自然が好きでマサイ村での生活は楽しいと言う。
私たちはお互いの経験を共有しながら、「アリがそこらかしこにいて困る」とか「水を誰かに用意してもらわないと無いから気をつかう」とかマサイ村あるあるで盛り上がった。
夕方になり、牛が放牧から戻ってきた頃、疲れたのでベッドでうとうとしていた。
気持ちよく眠りにつこうとしたその時、すごく近くでモランの声が聞こえてきた。
何事かとドアを開けると、うちの庭にマサイの戦士達がいてダンスパーティを始めようとしていたのだ。
同じリズムを刻みながら、体を揺らして低い声を出している。
いつもはママの家の庭でダンスパーティをしているのに、今日はなぜかうちの庭でやっていた。
ドアを開けたらマサイの戦士が宴を開いているなんて、人生色んなことがあるものだ。
しばらく踊っていたが、次の儀式が違う家の中で行われるので移動。
家の中はモランと成人した女性たちが集い、今年一年の無事と牛をはじめとする全ての動物に感謝と祝福を捧げる儀式だった。
女性が牛乳の入った容れ物(キブユ)を男性に渡す、これを女性の人数分繰り返して終わり。
そして今度はもっと多くのモランが集まって、ダンスパーティが始まった。
ママの庭で、どんどん集まってくるモラン。
その数は時間と共に増えていく、そこにまずは女の子がダンスに参加する。
ジェニファー(妹④)が輪の中で踊っている姿を見て、運動会で我が子を一生懸命撮影する親の気持ちがよく分かった。
左手に懐中電灯、右手にスマホを持ち人垣の中ジェニファーを撮影する。
こんなに大きくなって…!
2年前はまだほんの子どもだったのに。
次に大きいお姉さん達がダンスに参加する。
やはり迫力が違う、どうやったらあんな風に肩だけを揺らせるのか?
銀色の長いネックレスと頭の飾りがシャラシャラと揺れる、モランの低音と女性の歌声が混じってとても美しい幻想的な光景を映し出している。
マサイダンスは奥が深い。
私はなんちゃってダンスをしながら、宴の様子を撮影したり、ロマと即席バーを作ってモラン相手にお商売したりしているうちにマサイ村の夜は更けていった。
私は日付が変わった頃に先に眠ったが、ロマが帰ってきたのは朝方。
ダンスしてジャンプして、朝まで起きてる体力が羨ましいと思うのだった。
🗣️クラファン公開中!
ネクストゴール【マサイ村に井戸を掘る】に挑戦中。
現在支援を募集しています!
リポストなどで拡散もしていただけると嬉しいです!
応援よろしくお願いいたします。
詳細はこちら↓
https://camp-fire.jp/projects/835165/view