メイタタのしもべ日記

タンザニアのマサイ村に嫁いだ日本人の日常

当ブログはアフィリエイト広告を利用しています

私を待ってくれている存在

所用で隣町に3日ほど行っていた。

家に戻ると、村の子ども達がわーきゃー言いながら近づいてくるのが分かったが庭先でロマに会って一瞬怯んでいる。

子ども達にとってロマはモラン(戦士)で、一線を画す存在なのだ。

 


ロマが子ども達に何か言うと、勢いよく私のところに走ってきた。

「タタ、ビスクティ!」

どうやらタタにビスケットを貰いなさいと銘を受けたようで、意気揚々とやって来た。

子ども達は普段お菓子を食べる機会がない。

こうやって大人がどこかに所用で出掛けて行った時に、お土産としてお菓子を買ってきてくれる時だけもらえるのだ。

私は1週間〜2週間に1回は街に出掛けるので、子ども達の期待を一身に背負っている。

 


ビスケットをあげると、ネイマ(1歳)は一心にパッケージを開けようと奮闘している。

マヌ(2歳)ケニー(4歳)は「アッシェ!(ありがと!)」とビスケット片手にどこかへ走って行った。

女子2人、ペー(4歳)とエマ(5歳)は落ち着いていて、ちゃんとお礼を言ったあと、すぐには食べずビスケットを手にしている。

 


イカイ(叔父さん)曰く、私が不在にしている時もネイマとマヌは家の前で私を呼んでいたらしい。

「タターーー!!ビスクティーーー!!!」

彼らにとって私はいつでもビスケットをくれる人だと認識しているようで、タタ=ビスケットの方程式が2人の頭の中に出来上がっている。

朝の早くに2人が私を呼ぶ声がする時がある。

あの小さな体のどこからそんなでっかい声が出るのか不思議で仕方がないが、「タタービスクティー!!」と外から私を呼ぶ声が聞こえてくる。

不在の時も変わらず、私を待っていたようだ。

 


待っていたといえばママオルクチ(犬)。

どうやらロマのバイクの音を聞き分けて、村の外に繋がる小道まで迎えに来てくれた。

私が不在にしていてもずーっと家の前で伏せていたらしい。

ママがご飯をあげる時だけ母屋に行って、それ以外は私の家の前で居た。

もはやうちの犬なんじゃないか?

ママが私に聞いた

ジェシー(子犬)のママは名前なんて言うの?」

「ママオルクチだよ!」

ママがケラケラと笑っている。

日本語にすると「母犬」、なんとネーミングセンスの無いことか。

他所の村の犬なので、いつか帰っちゃうと思って名前をつけなかったのに、ちっとも帰る様子はない。

もうここで暮らすのかな?

 


一つ悲しいお知らせがあった。

街に行っている間に、子犬の1匹が亡くなったそうだ。夜は普通にご飯を食べて、朝起きてみたらもう冷たくなっていたと。

病気だったのか、原因は不明だがママオルクチが産んだ7匹はあんなに元気だったのに6匹になった。

うちの村に残っている子犬はジェシー1匹になってしまった。

心なしかママオルクチに元気がないのはそのせいか。

 


庭に出ると遠くから「ナンナン」言いながら近づいてくる猫がいる。

ナンシカだ。

ナンシカも私(ご飯)を待っていたようで、足にすりすりしながらナンナン鳴いている。

ナンシカにご飯を分けてあげていると、さっきビスケットをあげたネイマがまた現れた。

「ネイマどしたん?」

「…タタ…ビスクティ」

小さな声で追加ビスケットオーダー入りました。

目的はなんであれ、私を待ってくれている人や動物がいるのは嬉しいことだ。

今日も子ども達と犬と猫が家の前で私を待っている。