メイタタのしもべ日記

タンザニア出身マサイの夫と派遣看護師の日常

無職の歩き方〜アスワン、クルーズ最終日〜

クルーズ5日目、いよいよ最終日。

小舟に乗ってフィラエ(イシス)神殿を目指す。

ここもアブシンベル神殿同様にアスワンハイダム建設によって水没の危機にあったため、ユネスコがフィラエ島からアギルキア島に移築、保存された。現在ではアギルキア島がフィラエ島に改名している。

小舟をチャーターしてアスワンの河岸を出発すること約10分、フィラエ神殿が見えてきた。

 

ここに祀られているのは女神イシス。

古代エジプトの神オシリスの妹であり妻でもあり、ホルスの母である。ちなみにホルスの妻がハトホル神。

紀元前3〜紀元前4世紀のプトレマイオス朝時代の建造物だ。

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イシスがホルスを産んだ地とされており、イシスがホルスを抱いて乳を飲ませている壁画も残っている。

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前回来た時も思ったが、ここは猫が多い。

遺跡の中にも猫がいるが、遺跡を出たところのカフェには何十匹もの猫がいる。

まるで猫島である。

神殿を見に来たのか、猫を見に来たのかわからなくなってしまったが猫好きの私にはとても良い島だった。

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帰りも同じ小舟に乗り、ヌビア人の兄弟にヌビア語を教えてもらった。

アフリカ系の黒い肌を持ち、ヌビア語を喋る人々は元々エジプト南部〜スーダンにかけての一帯に住んでいた。20世紀前半にイギリス人がナイル川の流域に複数のダムを建設し、ヌビア人の農民や漁師は故郷を追われることとなった。

さらに、1960年代アスワンハイダムの建設によりナセル湖が出来て、故郷はダムの中に沈んでしまった。

居住地を追われ、政治的にも弱い立場に立たされているヌビアの人々。

彼らが望む、ナイル川の岸に再定住できることを願わずにはいられなかった。

 

アフメッド曰く、ヌビア語には2種類あって1種類は文字を持たないので口頭で引き継ぐしかないのだそう。2年前にアスワンで泊まったヌビアンパラダイスのご主人がとっても親切なヌビア人で、私がヌビアに興味があって、ヌビア語では何ていうの?というととても喜んで教えてくれた。

旅先で出会う人によって、その国の印象は随分変わる。

私にとってのエジプトは、人懐っこくちょっとシャイで親切な人たち。

 

ボートを降りてワゴンに乗り込み、今日の宿泊先であるオベリスクナイルホテルまで送ってもらった。アフメッドにチップを渡して感謝を告げる。

「とってもいい思い出ができたよ、ありがとう。」

「また来てよ、今度は旦那さんと一緒にね。」

こうして5日間のクルーズは終わり、エジプトで過ごす最後の夜となった。