メイタタのしもべ日記

タンザニア出身マサイの夫と派遣看護師の日常

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ロマと喧嘩した話

先日、些細なことでロマと喧嘩になった。

いつもはしばらく口を聞かないで、そのうち元に戻るのだが、今回は私も腹に据えかねて読みかけの本を持って外に出た。

 

外は30度以上の灼熱のダルエスサラーム

日陰を探そうと、前にロマと散歩した道を辿って広いグラウンドに出た。

なにしろ財布もスマホもない、日陰で休まないと乾涸びてしまう。

グラウンドの隅っこに木が生えていて、木を境に柵が張られており中には何か建物がある。

中に入らず縁石に腰を下ろして休んでいると、中にいる男の人が「どうしたの?」と声をかけてくれた。

 

「なんかあったの?ここ座りな」

と椅子まで勧めてくれた。

ご好意に甘えて、椅子に座って彼としばらく喋っていた。

「彼氏と喧嘩して、本だけ持って出てきたの」

「え!彼氏と喧嘩?叩かれた?」

「ううん、言い合いしただけ。叩かれたらすぐ別れるよ」

「彼氏はタンザニアの人?」

「そう、タンガに住んでるマサイ」

「あ〜!僕もマサイなんだよ。」

 

目の前の丸顔の人の良さそうなおじさんは元々違う地域に住んでいたマサイで、仕事でダルエスサラームに来たらしい。

よくよく話を聞くとここはポリスステーション。確かにPOLISIってかいてある。

だから心配してくれたのかーと思っているとトヨタランクルが敷地内に入ってきた。

皆さん手にライフルを持っている。

 

「おー!カリブ〜(ウェルカム)」

たちまちおじさんたちに囲まれてスワヒリ語で話しかけられる、が、さっぱりわからない。

マサイのおじさんが英語で通訳してくれて何となく話の道筋だけはわかった。

昼休みで一旦帰ってきてみたら、客人がいるので何事かと思った。彼氏とまた何か喧嘩したらここに来い、俺たちは味方だからな。

という内容。

最初はライフルにビビって及び腰だったけれど、小一時間喋って仲良くなった。

昼休みが終わって彼らはまたランクルに乗って去って行った。

 

マサイのおじさんにお礼を言って、ホテルに戻った。

ロマが心配そうな顔をして寄ってくる。

「ロビーに居るかと思ったらいなくて、この辺全部探したんだよ。無事で良かった。ごめんね」

お互いに頭が冷えて、仲直りした。

 

ロマ曰く、私が出て行ってすぐに不貞寝したら私の夢を見た。

私がダルエスサラームから離れて、初めて出会ったブユニ(ザンジバル)に行ってしまう。「もし、私の事を愛しているならブユニまで来て」というところで目が覚めた。

探しても見つからないので、本当にブユニに行ったのか焦ったと。

 

この夜、初めて出会った時のことを、ロマがどう思ってたのかを話してくれた。

初めて会ったその時に恋に落ちた。

ウミヘビを捕まえようとしていた私のどの辺に惚れたのかはわからない。

出会って何日か経って、勇気を振り絞って私の手を握ろうとしたら「ロマ、私たち友達なんだから。手を離して?」と私に一蹴されて落ち込んだ。

彼はシャイなので、お酒を飲んで再度アプローチしたが「私たち友達でしょ?」と断られ「ああ、タタって難しい!!」。

最終的に今の関係になれてとっても嬉しかったんだとか。

 

ロマと出会ってこうして一緒にいることが奇跡みたいな事なのに、どうしてしょうもない喧嘩なんてしたんだろう。

喧嘩の原因は大まかに言うと牛。

マサイと牛の絆にはまだまだ敵いそうにない。

 

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