右下の親知らずを抜いた。
痛みもないし、虫歯になったわけでもないが抜歯した。
タンザニアで痛くなって抜くより、無症状の今、日本で抜いた方が良いと思ったからだ。
診察室に通されてしばし待機。
待ち時間が10倍くらいに感じられた。
普段私が接している患者さんもこんな感じなんだろうか。
全身麻酔で手術したことはあるが、局所麻酔下での施術は初めてでなんとも言えない気持ちになった。
ちなみに全身麻酔の時はやたらハイになって、ソワソワしながら麻酔導入され気がつけば全てが終わっていた。術後疼痛も全然なかった。
病棟で働いて居た時は、混合病棟で口腔外科も一緒だったので抜歯の患者さんは何人も見てきた。入院して抜歯するくらいだから、同時に何本も抜く人や難しい症例の人たちばかり。
そんな人に比べれば、たった1本抜歯するだけでビビり散らかしている私って一体…
なんなら「今日の受け持ち患者さんは〜あー抜歯ね!おけ!」と軽すぎる気持ちで対応していたことを反省しようと思う。
起きてる時に歯を抜かれる、考えてみたら尋常ではない。
ちなみに私の友達(看護師や医者)に「局所麻酔で親知らず抜きますねん。」言うたら、みんな「そんななんでアウェイクで〜怖いやん!麻酔かけたるやん(麻酔科医)。」「入院して全身麻酔で一気に抜いたらいいのに、怖いやん?!」
意外と医療従事者は痛がりで怖がりである。
先日、友人(看護師)が出産した。初産である。
何気なく聞いてみた。「無痛分娩にせんの?」
「え、だって硬膜外麻酔怖いやん?」
え?あんなに毎日患者さんに硬麻入れてんのに??
「いや、怖いから硬麻せんかった。普通分娩にした」(看護師同期3名同意見)
そうなん???陣痛の方が痛そうやけどそんなもんなん???
私は選べるなら無痛分娩一択やけどなぁ…学生実習の時に見学させてもらったお産とか、お母さん死んじゃうんじゃないかってハラハラしながら見てたのに。
母は強しなんやなぁ…
診察台でまな板に磔になったボラのような私。
先生が戻ってきて、いよいよ麻酔を開始。
表面麻酔の後に局所麻酔を打ってもらいそれがチクっとしたくらいであとは痛みはなく、執刀医の先生を待つ。
「じゃあ始めますね〜痛かったら手あげてください。」
「はひ」
「メス15番で」
先生と歯科助手さんのやりとりを聞きながら、メス15番で切るのかぁ〜と呑気に考えていた。
メスの刃には番号があって、その番号で大きさや形が決まっている。
処置台に載っている器具を見ながら、あーそれそれ、エクスプローラー懐かしい〜など昔の手術を思い出しているうちに佳境に入った模様。
「ちょっと顎引っ張るけど、ごめんね〜」
「はひ、おーおー(はい、どうぞ)」
何度かに分けて摘出された私の親知らず。初めて日の目を見るのが処置台の上なんて、ちょっとかわいそうな親知らず。
4−0シルクで2針縫合し、約30分で終了。
この日は右下の奥だけ抜歯、また1ヶ月後くらいに左下の抜歯が待っている予定。
抜いたその時より、2−3時間後くらいが一番痛かった。
ただ、ロキソプロフェンを飲んだら治った。
ありがとう、ロキソプロフェン。
期間限定おたふくみたいになったほっぺたを見て、面白い顔だなと思っているうちに寝落ちした幸せな休日。