ロマが治療しにアパートから出て行って、3日目の朝を迎えた。
事の始まりは、事故の現場検証が終わってアパートに帰って来た夕方。ロマに掛かってきた一本の電話だった。
「ここからちょっと離れたところでマサイの薬を作ってくれる人がいるからそこに行くね。治ったら帰ってくるよ。」
いつ治るん?治るの達成値は…???
まあ良い、マサイにはマサイの治療法があるんだろう。何でも羊の油(?)を摂取するとたちまち良くなるんだとか。
そういえば、前にロマのママが牛に激突されて病院に運ばれた時も家に帰ってきて羊の油摂取していたような…
いってらっしゃいと送り出して早3日目。
日本から持ってきた本を読み、食事を作り、ビーチを散歩する健康的な生活を送っているがまあ時間が余る。
暇を持て余した私に色々親切にしてくれるハウスキーパーのチャズ。キッチンに行くといつも何かしら料理をしていて、「試してみる?」と色々食べさせてくれる。
バナナとアボカド、ナツメのミックスジュースはとても美味しかった。
お昼ご飯を食べて、テラスでゴロゴロしていると近所の子供達が集まってきた。「マサイどこおんの?」「病院行ってるよー。」と喋っているうちに一人の男の子が敷地内に生えているココナッツの木によじ登っていく。
結構な高さまでスルスルと登り、実っているココナッツを地上に落とす。
「ドス!」「ドスッ!」
これ当たったら厳しいな〜と思いながら器用にココナッツを刈り取っていく彼を地上から見上げる。
下で待機してる子ども達は「ココナッツいる?!いるよね!飲む!」と口々に話しかけてくる。
昔、グアムに行った時に浜辺で飲んだココナッツジュースは美味しくなかった記憶があったので、要らないよとお断りした。
後ろで見ていたチャズが「まあ一個試しに飲んでみなよ。」とココナッツをカットして飲めるようにしてくれた。
カットされたココナッツの穴からジュースを飲む。きっと冷やせば美味しくなりそうな、アクエリアスの親戚みたいな味がした。
中身の白い果肉部も食べさせてくれて、これは何だか不思議な噛みごたえと味も乾燥ココナッツとは違う優しい味がした。
毎日が穏やかな時間とともに過ぎていく。
ウーバーイーツも遊園地も電車も何にもないけど、今すごく豊かに暮らしていると思う。
明日は何をしようかな。
こんなに高い木に登れるなんて尊敬する。カメラ向けたらポーズ取ってくれるなんて可愛らしい!!