メイタタのしもべ日記

タンザニアに住むマサイの夫と遠距離中の看護師

ピロリ菌

2020年の夏、私は初めて内視鏡検査を受けた。

 

職場で35歳以上は人間ドックの費用を半分負担してくれるということで、近所の病院にドックを受けに行った。

その昔、胃バリウム検査はしたことがあったがあれは酷かった。

バリウム検査とは、発泡剤(炭酸)で胃を膨らませ、バリウム(造影剤)を飲んでレントゲンを連続的に照射しながら撮影する検査のことだ。ゲップを我慢し、貼り付けの刑にされて頭低位にされたりグルグル回されて途中でギブギブ!!となったが「はいーもうすぐ終わりますからね~」止めてはもらえなかった。こんなの高齢者が耐えられるのだろうか?そこまで頑張って受けた検査結果は「正常。胃が大きい。」だった。

 

今まで数多の患者さんに内視鏡検査の説明をし、実際の現場も見ていたのでできるでしょ!と軽い気持ちで胃カメラを希望した。

2020年夏、時はコロナの第2波で病院もコロナ対策に追われていたころ。

内視鏡室の看護師さんに「胃カメラは初めてですか?」と丁寧に説明してもらった。

最後らへんで「コロナの影響もありまして鎮静がかけられないのですがご了承いただけますか?」鎮静かけると滞在時間が長くなるからなのかなーなんて考えながら「大丈夫です。」と答えた。鼻からのカメラの前処置をしていざ、処置室へ。

 

男性医師がパソコンの前に座って、担当します○○です。と検査の概要を説明してくれた。いざ、処置台に寝ころび鼻からカメラを…入らない。

「どっちの鼻のほうが通りますか?」「左のほうが広いと思います。」

なかなか入らない、そう鼻が狭いのだ。あーだこーだしているうちに貫通したが、その時の感覚は痛みを通り超えて「あっつ!!!!!」だった。

カメラが喉を通っていく感覚に体は正直に反応する、咽頭反射(オエッ)を抑えようとしても体は地上に打ち上げられたブラックバスよろしくビチビチ跳ねる。目と鼻と口から体液が大洪水となり、自分の体液で溺れる事態となった。

先生も看護師さんも「大丈夫ですか?」と声をかけてくれるが喋れないので、オエオエビチビチ跳ねながらかすかに頷く。看護師さんが背中をさすりながら声掛けをしてくれるのが、どんなに心強いか初めて分かった。患者さんはこんな気持ちになるんだなーと思いながら、しんどいながらもモニターから視線は外さない。

「インジゴあるかな?」「はい。」

インジゴカルミンという薬は散布することでコントラストを強調し胃粘膜の凸凹をよりくっきり見るときに使う。ということは、何か病変があるのかしら。

青く染まった私の胃にカメラを寄せて何枚も写真を撮る。

「タタさん、ここ見えますか?胃の粘膜がザラザラしてるのわかります?」

確かに、胃の一部がサメ肌みたいにザラザラしている。これは…

「おそらくピロリ菌がいると思うので、採血検査の項目に足してもいいですか?」

 

きた!ピロリ菌。絶対いる、居るにきまってる。ヘリコバクターピロリ、強烈な胃酸のなかでも生きれちゃうピロリ。胃がんのリスク因子ピロリ。

幼少期に川で泳いだことがありますか?

幼少期に井戸水や湧き水を飲んでいましたか?

心当たりしかない。上水道整ったのは中学生の頃で、それまで谷の水引いて飲んでたし、母にもピロリ居たし、居ないわけがない。

 

血液検査の結果もばっちり「ピロリ菌に感染しています。」

除菌することにした、決められた薬を朝晩1週間内服するのだがこれがまたお腹が張ってしんどい。けど、ピロリに打ち勝ってまだまだ健康な胃で美味しいもの食べるんだ欲が強く1週間飲み切った。

ピロリ討伐に成功し、翌年も同じ病院で今度は口からカメラを飲んだ。

結果、オエオエビチビチして鎮静は必要だと思った。ミダゾラムくださーい!

早期発見早期治療、患者さんに言う前に自分もやらなあかんなと思うのだった。