ザンジバル島に来て3日目の朝。
泊まっていた宿は2泊だけで、その後は自炊出来るアパートに移ろうと彼と話していたが前日までに良いアパートが見つからず決まらなかった。
「何とかなるよ!」
何とかするよ、では無いところに一抹の不安を覚えたが確かに今までも何とかはなっていた。計画性の無さは私と同等かもしれない。
前日に、宿のチェックアウトは10-11時である事を伝えて解散となり彼は友達と住んでいるシェアハウスに帰って行った。
翌日10時、チェックアウトを済まして待つ。
来ない、分かっていたが時間通りには来ない。メールしてみるが既読も付かない、電話も出ないし本当に来るのだろうか?もちろんアパートも決まってない。無い無い尽くしで半ば諦めて一人でアパートを探す。
11時、来ない。
12時、来ない。
お?既読が付いて何やらメッセージが来た。
「How are you?」
今それちゃう!既に1時間遅刻してんねん!!
いかん、ここは日本では無いし私の価値観で測ってはいかん。
もうここにしようと思う、とアパートの情報を送ると承諾の返事が返って来た。この時点でやっと今日からの宿が見つかった。遅い、遅すぎる。
13時、やっと来た。もう一人友だちのマサイと連れ立ってこちらに向かって歩いてくる。何やら表情は暗い。
「Sorry are you angry?」
一応悪い事をしたとは思っている様子。
「怒ってるよ、どんだけ待ったらいい?アパートも私が決めて良いなら言っといてよ。こんなギリギリにならんやん。なんで朝も連絡くれんかったん?」
もう消え入りそうな彼。
「実は若いマサイが亡くなって、朝からみんなで集まってて。遅くなってごめん、楽しい話じゃ無いし、心配するかなと思って。」
ここタンザニアのザンジバル島には出稼ぎに来ているマサイがたくさんいる。そこでマサイコミュニティが形成され、色んな情報を共有するらしい。
朝から悲しい想いをして、私にも怒られて可哀想なロマ。
もうね、私も今は無職なわけで時間は売るほどあるから今回は許します。次はないけど。
そんな訳で予定通りに進むことなんてない、人生一寸先は闇なんて言葉があるけれど、まさか次の日にこの言葉が頭をよぎるとはこの時の私は未だ知る由もなかった。