メイタタのしもべ日記

タンザニアに住むマサイの夫と遠距離中の看護師

マサイ村滞在記②オフグリット生活

フグリットとは、電気ガス水道などのインフラに頼らずに生活すること。

 

マサイ村での生活はまさにこれである。

電気はソーラー発電で、しかもそんなに精度の良いものでは無いため夜も薄暗い光の中で生活する。

スマホの充電は近隣の村までバイクで15分かけて行って、お金を払って充電する。電波も繋がるところまでバイクで行ってYouTubeTikTokを見るのだ。

 

ガスはない、石炭とカマドを使って料理する。

鍋つかみもない、ママの手のひらがどうなっているのか気になって仕方ない。次に来る時は絶対シリコン製鍋つかみをプレゼントしようと思う。もちろんお湯はないので、水をタライに入れてカマドで沸かす。

「タタ、シャワー浴びな!」

と用意してくれるのは一杯のバケツに入ったお湯。毎日私のために一杯のバケツにお湯を用意してくれる、これは簡単な事ではなくて近くの川まで水を汲みに行かなくてはならない。

バケツ1杯の水をおよそ100m先の川まで汲みに行って帰ってくるのは重労働だ。私も手伝ってみたが水は重いし溢れるし、横でモニカが「大丈夫?」と心配してくれている。モニカは私の半分くらいしかないほっそい足と腕で軽々とバケツの水を運んでいる。

 

洗濯ももちろんタライで手洗いだ。私が手伝うとママは「タタは良いのよ!休んでなさい。」と私に家事労働をさせずにお客さんとしてもてなしてくれたので、私はただただ子どもと遊び、ご飯を食べて眠るだけの最高にグータラした生活を謳歌していた。

 

ちなみにトイレはない。草原でサッと用を足してその辺の葉っぱで後処理をする。

ロマがおすすめの葉っぱを教えてくれた。慣れれば何だって出来るのだ。

 

シンプル、だけど大変。

日本だったら水が欲しければ水道を使えば良いし、毎日たっぷりのお湯をお風呂に張るのだって簡単だ。スイッチを捻れば火が使えるし、電子レンジだって使える。

いつでも安定した電力供給があって、家にいて充電に困る事なんてない。明るい電気の下で本も読めるし勉強もできる、インターネットは常に繋がっていて好きな時にネットに接続できる。あと、こんなに蚊に刺される事もない。

 

圧倒的に便利な生活が日本にはある。

しかし、日々家と職場の往復だけの日々の中で「自分の人生をこのまま消費していって良いのだろうか」と思うことがあった。

自分は凄い確率でこの世に人間としてデビューして、何を成し得るだろうか。そんな大層な人間にはなれそうも無いが、自分の命の使い方が正しいのだろうか?と往々にして思っていた。

今回、マサイ村のシンプルな生活の中で、その答えの片鱗を垣間見た気がする。

この先何を大切に生きていくか、まだまだ人生は続く。

 

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