メイタタのしもべ日記

タンザニアに住むマサイの夫と遠距離中の看護師

マラリアに罹った彼

日本にいると縁遠い病気マラリア

主に熱帯〜亜熱帯地域で流行する、マラリア原虫を持った蚊に刺される事で感染する病気。

 

かつて日本でも蔓延していた時代があったのだけど、公衆衛生の改善とともに減っていき近年は海外からの持ち込み症例でしか見ない疾患になった。

 

今までいろんな国に行って、蚊にも刺されてきたけれど運良くマラリアに感染することはなかった。

発熱を主訴に下痢、嘔吐、頭痛、悪寒と風邪のような症状が先行する。重症化すると脳症、腎臓・肝機能障害、重症貧血などが合併され死に至る病

 

一昨日の夜、ロマから電話がかかってきた。

マラリアに罹って、高熱と頭が割れるように痛くてもうダメだと思うから、今までありがとう。僕が居なくなっても、家族に会いにきてあげてね。」

 

えーーーーーーーーーーー!!!!

青天の霹靂。

ビデオコールに切り替えて見るとどうやら病院で点滴を受けている様子。

かなり辛そうで、話も途切れとぎれで泣きながら喋っている。

 

混乱しながらも、そんな事ない治療受けてるから大丈夫!と励ましてはみるものの、日本とは格段に差があるであろう医療体制を考えると病院で治療を受けているから大丈夫ってこともなさそう。

 

すぐに飛行機に乗ったとしてもタンザニアには30時間後にしか着かないし、手術室とスナックの仕事もあるし、色々がんじがらめで動けない。彼氏が死にそうになってるのに、何にも出来ないとは情けない。

でもこれが現実なのだ。

 

外国人と遠距離恋愛している、というと一定数「日本人じゃダメなのか?」と言われる。

日本人がいいに決まってる!

言葉の壁もないし文化も同じ、シーフード食べられるし、時差もない。

 

ただ、たまたま好きになった人がマサイ族だっただけだ。

 

言葉や文化、肌の色や習慣。何もかも違うけれどそれを超越して好きになってしまったのだから仕方がない。

国際結婚した友達も「そりゃ日本人同士がいいでしょ。今だって伝わらなくてもどかしいこといっぱいあるのに。」と言う。

国際恋愛、大変なのは承知していたがまさか命の危機に直面するとは思いもよらなかった。

 

しかも先進国じゃないから、医療に簡単にアクセス出来ない。

マラリアは貧困病と言われている。

公衆衛生が整わず、蚊が発生する要因が沢山ある場所に発生するためだ。

そして、罹患して重症化すれば仕事や学校に行けない。収入は途絶えるのに高額な医療費を払うこととなる、まさに貧困のループだ。

 

そんなわけで、ロマの治療費は日本円にして10万円。彼が払えるわけない。

今日もせっせと働いて、お金を稼ぐ。

自分と自分の周りにいる人を護れるように。

 

今日になってずいぶん体調が良くなったので退院して家に帰れるらしい。一安心。

健康が一番大事!

 

どうしたらもっと医療にアクセスしやすくなるのか、より良い医療を受けられるようになるのか。医療従事者の端くれとして今日も考えている。

タンザニアに病院つくりたーい!!