先日、義家族に7番目の兄妹が生まれた。
ロマは相変わらず唯一の男子である事に変わりなく、残りの妹たちは末っ子の誕生を喜んでいる。
が、しかし、1人あんまり嬉しそうではない妹がいる。
マグダレナ(妹⑤)だ。
今年9歳になる彼女は、今まで末っ子の全ての権利を主張し、末っ子道を貫いてきた。
それが妹⑥の誕生によって末っ子の座が奪われてしまったのだ。
ママが出産する少し前くらいから、ママに甘えるようになった。
そして、ママが出産のため家を離れると毎日のように泣いては何かを訴える行為を繰り返した。
ママと赤ちゃんが家に帰ってきてからも、よく泣いては拗ねて大きいお姉ちゃんたちに慰められている。
1歳のネイマとどっこいどっこいなぐらい泣き喚いている。
ロマにこの事を言うと
「嫉妬だよ、赤ちゃんにママを取られた嫉妬。」
なるほど、赤ちゃん返りか!
ロマはすぐ下の妹ローズが生まれた時すでに6-7歳で、男の子と女の子という事もあって「ママを取られた!」という感情にはならなかったそうだ。
ママと赤ちゃんが帰ってきてから、2人はマサイの伝統的な家の方で生活している。
土壁でできた藁の屋根の家は、入って左側がキッチンで右側がベッドルームになっている。
本来ならこの家で出産し、そのまま育児が始まるのだが今回は病院で生まれたので少しイレギュラーのようだ。
この家には一日中村のママたちが出入りして、産後のママのサポートに当たる。
一切の家事を引き受け、ママが赤ちゃんと一緒に過ごせるようみんながサポートする。
掃除、洗濯、料理、水汲み、その他諸々の家事は1ヶ月以上に渡って村の女性全体で支えるのだ。
しかもみんな5-6人子どものいる子育てのプロ集団なので、安心感は半端ない。
ビビ(おばあちゃん)に至っては11人出産経験があり、近隣の村で生まれる子ども全ての出産に立会い、その後のケアも一緒にしてくれる。
昔は今より医療も良くなかっただろうし、こうやってママと赤ちゃんをみんなで守っていかないとやっていけなかったんだろうと推測する。
昔の日本もこんな感じだったのかな。
生まれてきた子はみんなで育てる、マサイ村の子育て方針だ。
ちなみに男性は夫であっても赤ちゃんに会えるのは1ヶ月先。
ロマも然り、自分の妹を見るのは1ヶ月後、ママと赤ちゃんが家の外に出てきてからになる。
ジェニファー(妹④)はいつも通り、変わりなく毎日を過ごしている。上のお姉ちゃんたちは小さなママとして赤ちゃんのお世話をしている。
妹が生まれて嬉しい半分、ママを取られて悲しい半分のマグダレナ。
半面、お姉ちゃんの真似をして家事を1人でしようとする事も多くなった。
まだまだ1人ではできない事も多いけれど、彼女なりにお姉ちゃんになろうとしているのかもしれない。
どのみち大きくなれば毎日家事をするのが当たり前になるのだから、今はいっぱい遊んで学んで今しか味わえない子ども時代を謳歌してほしい。
みんなの成長を間近で見られて、スィンダニ(義姉)は嬉しいのであった。