少し前の話。
新学期を目前に末っ子が晩御飯前に泣き出して、そのままベッドに籠城。
「マグダレナ(妹⑤)どないしたん?」
「それがね、さっきロマがノート買ってきてくれたけど教科数に対して冊数が足りないって泣いてるの。」
どうやらノートは売り切れで、明日また買い足しに行くらしい。
その事をマグダレナに伝えても、明日は学校に行かないの一点張り。
「ママは知らないんだ!ノート足りなくて先生に叩かれるのがどんなに辛いか!わーーーーん」
晩御飯が出来て、食卓に来るように言っても無視。シクシクと泣き続けている。
ここタンザニアの村では体罰という概念はないので忘れ物をする、規則に沿わない事をすると容赦なく叩かれる。
ノート足りないくらいでそんな…と思ったが、彼女にしてみれば一大事なのだ。
ロマは出先からまだ帰らないし、とにかくノートを補充して晩御飯を食べさせなければ!
元々カリカリに痩せているのに、さらに痩せたら栄養失調になってしまう。
スーツケースをひっくり返して、日本から持ってきたコクヨのCampusソフトリングノート3冊を発見。
こっちでスワヒリ語とマサイ語と英語でも勉強しようと思って持ってきたが、今日までスーツケースで眠っていたということはもう使う機会がないという事。
それならば、必要とする人にあげた方が絶対いい!
ノート3冊を掴んで、マグダレナの籠城するベッドルームに突入。
ベッドに突っ伏して泣いている末っ子。
「ンゴ(あげる)。」
「…アッシェ(ありがとう)。」
私の手から受け取ったノートをペラペラとめくって眺めている。
タンザニアでこの品質のノートは見たことがないし、彼女にとってはリングノートを見るのも初めてだ。
どうやら気に入ったようで、何度もページをめくっては覗き込んでいる。
隣のリビングに戻ると、今だ!と言わんばかりにママがご飯の入ったお皿とスプーンを私に渡す。
それを持って行くと、素直に受け取って食べ始めた。
後から聞いたところ「ママが持ってきたら食べなかった。タタがノートくれて、タタがご飯持ってきたから食べた。」
何はともあれ食べてくれたから良かった。
翌朝、元気に登校していったので一安心。
学校から帰って来てすぐに私のところに来て
「見て見て!」とノートを開く。
なんの教科かわからないけど、全部正解したらしく先生のチェックが付いていた。
このノートで学ぶことが楽しいことになってくれたら嬉しい。
今度日本に帰ったら、もっとたくさんノートを買って帰ろうと思った。