マサイ村では毎月何かが誕生する。
先日は気がついたらロバが生まれていたり、ヤギが双子を産んでいたり、牛も定期的に子牛を産む。
ニワトリも気がつけば新しい卵を産み、いつのまにかヒヨコになっている。
先月は村の女性が赤ちゃんを産んでお祝いしたばかりだ。
話は月曜日の夜に遡る。
私とモニカ(妹③)がキッチンでウガリを作っていると、なにやら外が騒がしい。
バイクタクシーが来て、村中のママが集まっている。
「ママが調子悪くて、病院行くんだよ。」
とモニカが教えてくれた。
ママはビビ(おばあちゃん)に連れられて、バイクタクシーで村の診療所に運ばれていった。
ママはこのところ、ずっと貧血が酷くヘモグロビンが6.0しかなかった。(普通は12.0以上ある)
足も浮腫でパンパンだし、いつもしんどそうだった。
大丈夫かなと見送って、残った家族で晩ごはんを食べた。
みんなで「ママ大丈夫かな」とお祈りして22時くらいに就寝。
ママについてビビと伯父さんとロマも病院に付きっきりだった。
翌朝、ジェニファー(妹④)とマグダレナ(妹⑤)を学校に送り出して、モニカにおはようと声をかけた。
「昨日の夜ね、3時くらいにローズ(妹①)がお腹痛くなって叔父さんと第二夫人に連れられて病院行ったきりなの。この家に今、私とタタしかいないの。」
なんと!
一晩で2人も病院に行ってしまった!
どうりで朝から人が少ないわけだ。
2人で何とかしなければならない。
私が単独で出来るのは掃除と洗濯くらいか…モニカ(15)の足を引っ張らないようにしなければ!!
ポンコツ義姉を許しておくれ。
洗濯を終えてホッと一息ついていると10時くらいにロマが帰ってきた。
ママの状態が悪く隣町に搬送される事になったと。
急いで準備して村の診療所に向かったが、ママはビビと一緒に搬送された後だった。
ローズは薬を処方されて、家に帰れるとの事で一安心。
ロマとバイクで隣町の病院に急いだ。
病院に着いて、ビビと再会。
どうやら病室には入れないらしい、そして女性病棟なのでロマは近くに行くことすら許されないという。
ビビに着いて長い廊下を歩いて病室の前についた。
どうやら大部屋のようだ、中には仕切りも何もなくベッドがずらーっと並んでいる。
ビビが手招きして私を中に入れてくれた、入って右側2列目のベッド横にママが立っている。
良かった、立てるくらいには元気なんだ…
ママが私に気がついて「タタ、元気?来てくれてありがとう。」と言ってくれたがママは相当疲れているように見えた。
やっぱりまだしんどいんだな、とベッドの足元を見ると何かいる。
おくるみに包まれた小さな小さな赤ちゃんがそこに居た。
「?!?!?!?!ママ??エンケホケ(お腹)メティ(ない)モモイ(赤ちゃん)!!!!!」
ママのお腹をさすりながら、赤ちゃんを見る。
「そうよ、さっき産まれたの。」
おーーーー!!!!
ホンゲラサーナ!!(おめでとう)
なんと、出産終わってた。
実はママが妊娠していることは、先週ママが母子手帳を見せてくれたので知っていた。
知ってはいたけど、予定日もっと先じゃなかった???
多分だけど、早産だったのではなかろうか。
小さな赤ちゃんは目を開けてホゲホゲ何か言っている。
看護師さんが来て「ここには入ってはいけません!誰が許可したの?!」
と叱られたので退散。
なんと、新しいファミリーが増えた。
そしてロマはとってもソワソワしている。
「どうだった??性別どっちかわかる??」
ロマは第一子で、唯一の男の子。
ロマ以降ローズ、アナ、モニカ、ジェニファー、マグダレナは全員女の子。
そう、ロマは弟が欲しいのだ。
「顔見ただけで、性別は分かんない。ただ、とっても可愛いよ。」
「ビビに聞こう。あー緊張するなぁ!」
結果、妹が増えた。
ロマはガッカリしたかなと思ったが、「僕には妹がいっぱいいます」と笑っていたので良かった。
これでロマは7人兄弟の長兄となり、家族は私も含めて女性だらけになった。
兎にも角にもママお疲れ様でした、高齢出産で大変だったけど無事に生まれてきてくれてよかった。
みんなの愛情を一身に受けて大きく育ちますように。

この子が生まれた日の夕空