母とロマの相次ぐ体調不良により、当初計画していたザンジバル旅行はプラン通りにはいかず、療養型旅行となっていた。
朝起きてホテルのご飯を食べ、二度寝に突入しお昼ご飯を求めて街を散策。
お昼を食べたらまた帰って昼寝して夜ご飯を食べたり食べなかったり、書き出してみるとザンジバル島にいる理由はあまりない。
旅は思い通りにならないことが多いので、焦っても仕方ないのんびり過ごすことにした。
ストーンタウンの中心地にホテルがあったので、どこに行くにも歩いて回れて便利だった。
探し物があればフロントのおっちゃんに聞いて、誰か手が空いていればそのお店まで一緒に着いてきてくれたりもした。
ストーンタウンは猫がたくさんいて、しかもみんな人懐こい。
日本に残してきたメイタタを思いながら、現地の猫ちゃんに現を抜かすしもべ。
スワヒリ語で猫のことを「パカ」という。その響きがもう可愛い。
「パカ!パカおいで〜」
スワヒリ語と日本語のミックスで話しかけてみる。
「にゃーうん」
私の様子を見ていた縁石に腰掛けているおっちゃんたちがスワヒリ語で話しかけてくるが、スワヒリ語レベル1の私にはわからない。
自分の知っているスワヒリ語の全てを尽くして自分の言いたいことだけを伝えてみる。
「私は日本からきました、スワヒリ語を勉強中です。猫が好きです。」
おっちゃんたちは色々聞いてくれるが、答えられない。しかし、バックパッカー歴十数年のうちに磨いたジェスチャーで会話がなんとかなるから不思議。
最後はハイタッチして宿に戻ってきた。
相変わらずロマはご飯が食べられず、戻してばかりだったのでもう一回病院に行こうと行ってみたが、昨日行ったから行かないとベッドで横になっている。
母はメキメキと元気になり、私と一緒にストーンタウンを散策するようになった。
明日はついにフェリーに乗って本島に戻る日、ロマの体調が良くなるよう祈るしかなかった。
マサイの村に戻ったら元気になるだろう、なんて呑気なことをこの時は考えていた。
次回、ザンジバル島で救急車に乗る。