ロマと結婚した。
出会ってから1年2ヶ月。
ほとんどの時間は遠距離恋愛だったから早いような、時間が経っているような不思議な気持ち。
2022年11月。
1人でバックパック背負ってたどり着いたタンザニア。ザンジバル島でたまたま出会ったマサイの戦士と結婚するとは思いもしなかった。
大体のことは1人でできるし、仕事もそれとなくやってきたし、1人の生活に慣れ過ぎて「このまま結婚しない人生」を想定していたのに。
1人でも楽しくやっていける自信に満ち溢れていたにも関わらず、ロマと一緒に生きてみたいと思った。
2023年12月、3回目のタンザニア訪問。
結婚する気満々で来た割には、戸籍謄本を持ってこなかったため同郷の友人に年の暮れの忙しい最中にEMSで送ってもらうという失態。
パスポートだけ持って「結婚したいです!」って言うても私が独身かどうかわからないから役所の人も何も出来ない。
もし国際結婚する人がいれば、私からアドバイスできることは「必ず現地の日本大使館に必要書類の確認をとってから来る事!」。何事も準備が大切。
タンザニアで結婚するには三通りある。
キリスト教式、イスラム教式、政府式の三つだ。私たちは政府式を選択した。
結婚の手続きを取ってから21日間はこの結婚に対する異議を受け付けます、もしなければ晴れて婚姻成立ですというもの。
タンザニアの役所仕事はまあ予定通りには行かない。
6日に手続きして「15日に結婚証明書が出来るから来て」と言われて役所に行ったら出来てなかった。
「なんでリマインドしてくれなかったんだ。」と役所の人に言われる始末。
月曜日だったしね、週明けで忙しいよね。
「今日は会議で無理です。水曜日来て」
これで本当に時間的余裕がなかったらどうしてくれるんだろう。
帰り際に役所の壁にばーんと張り出されている書類を見ると、私たちのパスポートコピーと結婚届だった。これを見て異議申し立てをするんだろうけど、個人情報保護の意識は皆無だ。
私の氏名、生年月日、パスポートナンバー、親の名前、出生地ぜーんぶ公開!ロマに至っては電話番号まで公開されている。
これまた面白い事に、タンザニアの人々はすぐに電話番号交換に踏み切る。
相手が役所だろうが、タクシー運転手だろうが関係なく個人的に番号交換してじゃんじゃん電話する。
「あの件進んでます?!」
きっとこれが一番確実な方法なんだろう。
あとはいくら賄賂を払えるか。
火曜日の夜、ロマが嬉しそうに話しかけてきた。
「明日、結婚証人を各1人ずつ連れて役所に来てだって!これは確定だな!」
月曜日何のアナウンスも無かった事が平然と言い放たれる。
結婚証人は新郎側と新婦側で必要らしい。
ロマは速攻で友達に電話して「明日朝早いから、今から迎えに行くよ!うちに泊まって明日一緒に行こう。」
と今から寝ようとしている友達に今から家に来ることを要求。
二つ返事で「いいよ〜」と言う友達、一生大事にせなあかん友達だと思った。
もう1人、私の結婚証人をどうしようか?
誰でもいいって言っても、道端で捕まえるケニョンガとは訳が違うしなあ。
市役所にほど近い街の中心部に、私たちがよく行くレストランがある。そこのスタッフの女の子が、行くたびに良くしてくれるので彼女に頼んでみよう!という事に落ち着いた。
水曜日当日、朝からロマと友達と3人で街に向かう。バイクで3ケツ、未舗装の道をバウンドしながら進んでいく。お尻がランブータンになりそう。
街に着くと9時すぎ、10時に役所に集合予定である。
レストランに向かい、彼女を探すがいない。今日は休みらしい。
すると他のスタッフが女の子を呼び出してくれた。
「結婚証人になって欲しいの、お願い!」
急に休みの日に呼び出されて、ノーアポの外国人にそんなこと言われて驚くのは仕方がない。
しかし、彼女の心はザンジバル島に面するインド洋並みに広かった。
「この街に人、いっぱいいるのに私でいいの?」
女神降臨!!!!
すぐにバイクタクシーを呼び、一緒に市役所へ。
別室へ通されて、私とロマ、結婚証人の2人と役所の偉い人、スタッフ1名で結婚宣言が始まった。
ロマがプリント渡されて、それに書いてある文言を読む。英語で書かれているが、要は「健やかなる時も病める時も私は妻を愛します。死が2人を別つまで。」的な文言だった。
感動してジーンとしていたのも束の間、私のターンが回ってきた。
英語、ちゃんと勉強していれば良かった…!ちゃんと言えた文は一節もなかった!
カミカミの結婚宣誓はみんなの温かい眼差しの中終了した。
宣誓書に私たちと結婚証人の4人分のサインを書いて終了。役所の人が「フォト!フォト!」と勧めてくるので、全員で何枚も写真を撮った。
こうして、国際結婚の手続き(タンザニア側)は終了した。色んな人に結婚の報告をして、何にも言ってなかった妹にも報告のLINEをいれた。
「タンザニアで結婚しました」
「えーーーおめでとう。聞きたい事がありすぎて混乱しているので後日連絡します。」
それでもおめでとうと言ってくれる妹で良かった。全員、驚きつつも祝ってくれて嬉しかった。
帰り道、ロマとバイクに揺られてOasisのWhateverを聴きながらタンザニアの大草原を見て、自由に生きてきたなあと思った。それもこれも家族の理解があっての事。
私をこの世にデビューさせてくれた両親と神様に感謝。そして私と一緒に生きていきたいと言ってくれたロマにも感謝。
私と一緒にしょうもないことでゲラゲラ笑っているロマとおもしろい人生を過ごしたい。
Whatever you do, whatever you say
You know it's alright