ボダボダに乗って病院に向かう、朝日がジリジリと照りつける中汗だくで病院に到着。
ベッドサイドに行くと、ロマがマサイ青年と話している。
毎日、付き添いして昼間はホテルで働いて忙しいはずの青年は私のことも気遣ってくれた。
アッシェナレン!(マサイ語でありがとう)
「おはよう、これ最後の点滴だって!」
100mlくらいのパックに液体がわずかに残っている、医師が来るのは9時からなので待つことにした。ロマのお向かいのベッドに入院している患者さんは昨日に引き続き苦しそうに吐いている、お腹がパンパンに張って苦しそうに肩で息をしている。
「昨日の夜、2人亡くなったよ。」
入り口のベッドが2つ空になっている。昨日まで酸素を投与されていた患者さんはもういなかった。
9時きっかりに髭を生やした長身の医師が病室に入ってきて、ロマと私を呼んで説明してくれた。
「マラリアの急性期の治療は3日間かけてベストを尽くしました、もう大丈夫でしょう。薬を処方するので、それを持って帰ってください。退院を許可します。」
「ありがとうございます、あの、お支払いはどこで?」
「支払い?ないです。」
ない???
聞き間違えたのだろうか、とりあえず薬局に薬をもらいに行き処方をもらった。ここでも支払いなし。
荷物をまとめて、病院の出口まで看護師が見送りについて来てくれた。
「お大事にね。」
「ありがとうございました、あの支払いは?」
「ないよ、政府がやってる病院だからね。気をつけてね〜」
まさかの無料!!
すごい金額を請求される覚悟できたら拍子抜けした。政府の病院だから無料?誰が医療費払っているのか??謎は深まるばかり。
その足でホテルに戻り、ロマの帰還をスタッフ一同喜んだ。
さて、フェリーに乗って本土を目指すぞ!!
「あのーシャワー浴びていい?3日間ずっとこの格好なんだけど。」
忘れてた!ロマの保清!
ロマのシャワーを待って急いでフェリー乗り場に急行し、あの日待合室にいたスタッフがロマの姿を見るなりワラワラと集まって来てくれた。
「もう大丈夫なんか!気をつけて行くんやで!」
みんなに見送られて12時きっかりに本土へ向けて出発。
凄まじい波と揺れで船内は地獄絵図、一番前の席に座って虚な瞳で甲板を見ていた。
船の中でいてもたってもいられなくなった人たちが甲板に出て風に当たり始めた。
乗務員もエチケット袋を配り始めたその時、甲板に出た女性が限界突破して船首で嘔吐したその瞬間。
ビチャビチャビチャ!!
風に乗って吐物が船尾に向かって撒き散らされた。
甲板にいた人たちはもれなくそのキラキラをシャワーのように浴びる羽目になり、数人が何かを叫びながら船内に戻ってきた。
すると今度はその匂いに釣られて、他の被害者が続出。
私は虚な目で母を見ると、母も曇った空をとかしたような目で私を見た。ロマは寝ている。
2時間、地獄のような揺れに耐えようやく本土の土を踏むことができて安心したのも束の間。
「タクシー????!!!!」
来た来た、タクシーに乗れ、こっちだ!と誘導してくる商売人の御一行様。
これを掻い潜って、もう14時。
バスターミナルに着いたら15時半、ここからマサイ村まで7時間かかる。
もうどうにでもなれと、村までタクシーで行くことに決定。村まで運んでくれるタクシー運転手さんを探して片道2万円弱払って出発。
日本のように整備された綺麗な道ばかりではない、時には道なきみちを爆走し街灯のない真っ暗な道で迷いどうにかこうにか、村の手前の町まで到着。この時点で23時。
今日はこれ以上無理、疲労困憊ということで町のホテルに泊まることにした。
次回:両家初めての顔合わせ

病院から見える風景