私が就職した当初、世はデジカメ全盛期だった。
みんなコンデジを買ってフィルムカメラでは出来ない、撮ったその場で写真を確認できて何枚でも(メモカの容量はあるが)写せてみんなで共有できる革新的なカメラ。
私も働き始めてお給料をもらい、早々にデジカメを購入した。
PanasonicのLumix。薄いラベンダーに少し青を混ぜたような色のカメラ。
Panasonicといえば「アユはぶれない」と浜崎あゆみがCMしてたなあ、とにかくどんどん画素数が上がり手振れに強くなりコンパクトになりカメラコーナーが賑わっていた。
何代目かに購入したCanon IXYは画質も良いしフォルムも良くて長い間活躍した。
まだ動画を撮ることが今のように浸透していない時代に、IXY持って忘年会用の動画素材を自分で一から作っていた。
YouTubeもそこまで流行ってないあの時代に、結婚式用のムービーとか忘年会の余興ムービーとか、とにかく分からんなりに作っては失敗し作っては失敗の繰り返し。
少女時代のMr.TAXIをコマ送りにして、全く同じカット割りで忘年会余興ムービーを作ったあのパッションはどこから来たのだろう?
11月の寒空の中、三条御池の中央分離帯でダンスの素材を撮ったのもいい思い出。
朝の6時に外科医U先生を呼び出して今出川大橋から河原町を何回も走らせたのもいい思い出。
京都御所で女子高生の恰好でダンス動画を撮っているときに御所警察がこっちをみていたのもいい思い出(?)。
当時の山田知事にばったり出会って、友だちの結婚式にメッセージもらったのはミラクル。
2010年代に入って、コンデジとiPhoneのカメラ性能はどんどん近づき
「iPhoneでここまできれいに撮れるなら、コンデジはもういいか。」
そこからほとんどiPhoneで済ませてしまっている。世界一周の時に一眼レフをもって行ったが重さのあまり首が凝り、盗難におびえた経験からアフリカ縦断にはiPhoneしか持っていかなかった。
もちろんiPhoneで素晴らしい写真は撮れるが、サファリでライオンやキリンを撮った時は一眼レフとはいわんがもう少し性能の良いコンデジを持ってこれば良かったと思った。周りのカメラガチ勢はバズーカーみたいなカメラでライオンを撮影していた。
しかし、iPhoneやデジカメには欠点もある。
それは何千枚の写真をフォルダに貯めているだけで、ちっとも整理できていない。
「アイクラウドがいっぱいです」のメッセージは見慣れてしまって効力を失っている。
重い腰を上げて、写真を選別しいくつかプリントアウトしてみた。スマホで簡単に写真を見るのもいいけれど、現像してアナログな状態にあえて戻すのも味があって楽しい。
マスキングテープで壁に写真を貼ってみる。
その写真が目に入るたびに、写真を撮った日を思い出す。
フィルムカメラを懐かしく思った。
デーモン閣下のCMが好きだった。