玉置神社からの帰り、おばさんがケーキ屋さんに連れて行ってくれた。
「そういえば、タタちゃん〇〇高校やったよね。ケーキ屋さんしてるお姉さんも一緒の高校やったんちゃうかな?」
私は中学を卒業した後、地元の高校には通わず村外の高校に進学した。
もちろん家からは通えないので寮に入っていたが、その寮で一緒だった先輩がケーキ屋さんを出しているようだった。
しかも木曜日の1日だけ出店されているお店、その日は運良く木曜日だった。
お店の外から中の様子を伺うと、いたいた!
高校の時からなんら変わらぬ先輩を発見。
「こんにちは、Mちゃん、私高校で一緒だったタタやでわかる?」
「あ〜!わかるよ!顔見て『知ってる!』って思ってん。久しぶり!」
お互い卒業以来二十数年会ってなかったのに、ちっとも変わらないこの感じ。
「えっと、」
ロマを見て目を輝かせるMちゃん。
「私の夫です。ロマですタンザニアから来ました。」
ロマを紹介すると、次の瞬間
「ジャンボ!」(こんにちは)
「え?!!」
「ハバリヤアスブヒ?」(朝の調子はどう?)
「待って、なんでスワヒリ語?!」
突如スワヒリ語を話し始めた旧友に驚く私とロマ。
「あはは、アサンテサーナ」(ありがとう)
「日本帰ってきてスワヒリ語喋ったんMちゃんが初めてなんやけど!」
「えーっとなんやっけなーもうちょっと知ってるんやけど!」
ロマはびっくりしつつ喜んでいる。
「すごーい!ズリサナ!」(very good)
私の生まれ育ったど田舎で、スワヒリ語を聞く日が来るなんて想像していなかった。
ロマも嬉しそうだ。
一言でもその国の言葉を話せると、一気に距離が狭まるこの現象。素敵だなあと思う。
言語を知ることは相手の文化を敬い受け入れること。
それを目の前で見られてよかった。
おばさんもその様子をニコニコと見守ってくれて、私たちはケーキをテイクアウトしチャイを飲んだ。
Mちゃんになんでスワヒリ語話せるの?と聞くと「いろんな言葉勉強するの趣味なんよ。」と教えてくれた。
英語、フランス語、スペイン語、スワヒリ語、その他にも色々な言語を学んでいるのだという。これがのちに、もっと大きく繋がっていくとはこの時には思いもよらなかった。
おばさんの家に戻って、用意してくれた昼ごはんをいただき、買ってきたケーキも食べて大満足の一日。この後おじさんが2時間くらいかけて駅まで送ってくれて、本当にお世話になりました。
ロマは村が気に入ったみたいで、ここで放牧しながら住みたい!っておばあちゃんのマッサージチェアに揉まれながら言ってた。
平地がないこの山村で牛飼うのは難しいなぁ〜でもやってみても良いのかな、なんて思いながら、あんなに村の外に出たくて仕方がなかった10代の時とはえらい違いだと思った今回の帰省。
帰る場所がたくさんある私は幸せ者だと思った。
先輩のお店。今年最後のモンブラン美味しかった!