メイタタのしもべ日記

タンザニアのマサイ村に嫁いだ日本人の日常

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雨季の始まり

3月7日に雨が降って以降、どんよりとした雲が垂れ込めた空模様。

急ピッチで貯水タンクの工事を進める。

ママの家の工事が完成した翌日、私の家のタンクの修正工事も8割方終了したその日の15時。

バケツをひっくり返したような雨と、台風かと思うような風が吹き荒れた。

 


豪雨が屋根を叩く音が太鼓を叩く音のように「ドン」「ドン」「ドン」と鳴り響く。

歓喜の雨だ。

私の家のタンクの設置は終わっているが、雨樋のところどころに不具合があり隙間から雨水が溢れてくる。

雨水はありったけのバケツとタライで回収したい。

「ティピカ エンガレ」(入れる 雨)

レインコートを着てバケツを右手、タライを左手に豪雨の中庭に出た。

あまりの激しい雨に雨宿りしたい犬と羊と山羊が右往左往している中、私は雨樋の下にタライを置き、シャワー室の裏にバケツを設置した。

足元は小さな川ができている。

滝のように水が降ってくるが、風が強すぎて着地点がうまく定まらない。

試行錯誤のうちにコツを掴み、どんどん溜まった水を水差しを使って20Lタンクに入れていく。

家の軒先から子どもたちが「タタ、ほんま雨好きなんやな。」という眼差しで私を見ている。

妹たちは洗濯に精を出している。

雨が降っている間に有り余る水で洗濯するのだ、雨の日に洗濯するなんて日本とは真逆だがここではこれが正解だ。

ちびっ子たちは庭に真っ裸で出て自然のシャワーを浴びている。

 


2年前の4月。

初めてマサイ村に来た時、雨水が得られなければ泥水でシャワーをして洗濯をして、なんなら料理も泥水になるということに衝撃を受けた。

ママは私にペットボトルのお水を用意してくれたが、妹たちが濁った水を飲むのは直視できなかった。

そのうち誰に言われたわけでもなく、雨が降るとバケツを持って雨樋の下で水を確保するのが私の趣味になった。(あくまでも趣味、仕事ではない)

いつでも眠っていたい私が夜中の3時でも雨音がすれば家族の誰より早く起きて水を確保している、そんな姿を見てママはとっても感動したらしい。

私が日本に帰っている間も、雨が降れば「タタがここにいたらバケツ持って走ってるんだろうなあ」と家族全員が思うくらい、雨=タタの方程式が出来上がっていた。

 


2時間ほど嵐のように吹き荒れる雨風の中、20Lタンク6個が満タンになり、バケツ、タライ、その他水を入れられるもの全てを満たして雨は止んだ。

ママの家のタンクはたった1回の雨で2000L近く貯まり、うちのタンクも1000Lは貯まった。

貯水ダムを見にいくと、枯れて地面が剥き出しになっていたのが嘘のように水が手前まで貯まっていた。

レインコートを着てもグショグショになるくらい強い雨が止んで、妹たちは今がチャンスとばかりに盛大に洗濯を干している。

雨が嫌いな山羊はメエメエ怒っていて、羊たちは沈黙している。

 


昨日はバーが忙しく全然寝れていないロマは昼寝をしていたが、豪雨の終わりとともに起きて私の横にやってきた。

「あれ見て」

そこにはくっきりと端から端まで繋がった虹が広がっていた。

雨季の始まりを告げるに相応しい、大きく美しい虹を見ながら貯水タンクプロジェクトを絶対に成功させようと誓ったのだった。

 

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