マサイ村には虫がたくさんいる。
世界最大と言われるタンザニア大ヤスデや、糞転がし、トンボにバッタに色々いる。
私はそんなに虫を怖いと思わないが、夜に起きて床にタンザニア大ヤスデを見つけた時はびっくりした。
ムカデと勘違いして、刺されたら大変!とロマを起こすと、半目を開けて「大丈夫、毒ない。」と寝てしまった。
毒がないならいいか、と私もすぐに眠りについた。
先日、洗濯をしていた時のこと。
タライに貯水タンクから持ってきた水を張って、洗剤を混ぜて泡立て、洗濯するタオルを3枚中に入れて揉み洗いした。
天気もいいし、今日はよく乾くだろうなとルンルン気分で洗って濯ぎ終わり、タオルの水気を絞ろうとしたその時、右の親指の付け根にチクっと痛みが走った。
「痛!」
何が起きたのだろう?
タオルを見ると何か動いている、小指くらいの大きさのサソリが尻尾をあげてこちらを見ている。
「ノバーローーーーーーン!!」
私の叫び声を聞いたノバーロン(従姉妹)が何事かと走ってくる。
「タタ、どしたん?!」
「これに刺された、痛いよう。」
ノバーロンは一目散に家に戻り、消毒液とママを連れてきてくれた。
騒ぎに気がついた妹たちも駆けつけてくれた。
「タタ!どこ刺されたの?!」
ママが消毒液を準備して、私の親指の付け根にかける。
ローズ(妹①)が布の端を割いて細い紐を作って私の親指の付け根を縛った。
その間にノバーロンがサソリを始末して、ママに見せている。
ジェニファー(妹④)が水を持ってきてくれて、たくさん飲むように言われた。
これがサソリに刺された時の対処法らしい、見事な連携プレー。
結局、洗濯の続きはローズがやってくれて、私はベッドで休んでいるだけの1日となった。
不幸中の幸い、そんなに深く刺されなかったのでほとんど腫れず、痛みもそんなに出なかった。
1時間毎くらいに家族が見にきて、痛くない?腫れてない?と私の手から腕にかけてを観察して心配してくれた。
帰宅したロマに言うと
「ラッキーやったね、普通は1日中痛くて夜も眠れないくらい痛いんだよ。」
私は親指を撫でながら、次からは洗濯物の中に虫が紛れてないか叩いてから洗濯をしようと思った。
その数日後、ローズが家の中にサンダルを脱いで入った瞬間、サソリがいて足を刺された。
ローズは1日中痛そうで、次の日も足を引きずって歩いていた。
サソリ怖い。
赤ちゃんが刺されたら大変だ、ナナミ(妹⑥)が刺されないように守らないと!
一番怖いのは「蚊」、あんなに小さいのに年間何人もの人が命を落とすマラリア怖い。
幸い、まだマラリアにかかったことはないがいつかその日が来るのだろう。
マラリアの症状や対処について勉強しなければ、自分の体は自分で守る。
いつでも医療にアクセスできる環境ではないので、予防と早期発見に努めようと誓った。